防爆ヒーターを購入する際に最も多い食い違いは、買い手が「防爆にしてほしい」としか伝えないことです。防爆構造には多くの種類があり、どれが該当するかは、可燃性物質の種類、その物質が存在しうる時間、そして機器の最高表面温度によって決まります。

まず区域を確定する

ゾーン0 は可燃性ガスが常時存在する区域、ゾーン1 は通常運転中に短時間現れうる区域、ゾーン2 は故障時にのみ現れうる区域です。ヒーターがゾーン0 で使われることはほとんどなく、対象は主にゾーン1 とゾーン2 です。

区域によって必要な防爆構造が決まります。ゾーン1 では通常、耐圧防爆の Exd または安全増しの Exe が求められます。ゾーン2 では Exd、Exe、場合によっては Exn(非点火)が使えます。国内案件では粉じん雰囲気も確認が必要で、粉じんはガスとは別基準の体系である ExtD に従います。

ガスグループと温度クラス

IIB と IIC の違いは代表試験ガスにあります。IIB はエチレン、IIC は水素とアセチレンを用います。IIC の方が厳しく、IIB まで含みますから、IIC 対応の機器は IIB 環境で使えますが、その逆はできません。

温度クラス T1~T6 は、最高表面温度 450°C から 85°C までに対応します。ここが最も見落とされやすい点です。媒体温度が 200°C でも発熱体表面が 300°C に達するヒーターは、T4(135°C)の環境では安全ではありません。T2 以上のクラスを選ぶか、表面負荷を下げる必要があります。

手順としては、現場の可燃性ガスの発火温度を調べます。ベンゼンは約 555°C(T1)、エーテルは約 170°C(T4)で発火します。機器の温度クラスは、この値を下回っていなければなりません。

構造上の三つのポイント

端子箱の分離:発熱体と端子は別々の室に収め、耐圧防爆接合面または密封スリーブで仕切らなければなりません。媒体側の漏えいが直接端子箱に達してはいけません。

冷端(コールドエンド)の長さ:フランジ面から加熱帯までの距離は、ガスケット部をその耐熱温度以下に保てるだけ確保しなければなりません。高温時には通常 100 mm 以上必要です。

接地と等電位ボンディング:防爆機器には確実な接地が求められます。金属筐体、端子箱、ブラケットを同じ接地バーに接続し、接地抵抗は 4 Ω 未満にします。

材質の問題は腐食だけではない

硫黄を含む媒体がニッケルクロム線を腐食し、塩素を含む媒体が 304 に応力腐食割れを起こすことはよく知られています。見落とされやすいのが水素で、金属に水素ぜい化を引き起こし、通常のステンレス鋼は時間とともに強度を失うため、専用の鋼種が必要になります。

また端子箱の耐圧防爆接合面には塗装や傷を付けてはならず、据付時と整備時には防錆グリースを塗布する必要があります。現場ではこれがおろそかになりがちで、それでは防爆性能が台無しになります。

書類を揃える

適切な防爆ヒーターには、適合証明書、証明書と一致する銘板データ、結線図、耐圧防爆接合面の整備要領が添付されているべきです。証明書の型式・温度クラス・適用区域は、実際の使用条件と合っていなければなりません。Exd の表示があるというだけでは受け入れてはいけません。

これらは購入時の技術仕様書に盛り込んでおくのがよく、後から議論するよりはるかに有効です。